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小田嶋隆のツイート読んでみた【2016年10~12月分】

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  • 【今年の曲はそうでもないけど、例年、氷川きよしは、圧倒的な歌唱力でバカな歌を歌ってるイメージ。実は美空ひばりも、私の知っていた時期は、必ずしも楽曲にめぐまれていなかった。いつも圧倒的な歌唱力で冴えない歌を歌っている感じだった】

──美空ひばりの最高傑作は『お祭りマンボ』で、後年になればなるほど『川の流れのように』のようなリズム感のない曲を歌うようになった。

氷川きよしは『たけしの誰でもピカソ』でノリノリでTMレボリューションの『HOT LIMIT』を歌っているのを見て「ああ、本当はこういう歌を歌いたいんだろうな。そして平井堅と添い遂げたいんだろうな」とオモタ。

 

  • 【「笑ってはいけない」は、一秒も笑わない自信がある】

──「笑ってはいけない」というガバガバの前提が致命的なのかもしれない。

むしろ「笑わなければならない」ってことだから。

でも、私は嫌いじゃないですよ。

 

  • 【2016年は週刊誌が死んだ年だと考えている。いわゆる「文春砲」で息を吹き返したと思っている人もいるんだろうけど、部数の復活も一瞬の話で、要するにああいう品の無いスキャンダリズムに舵を切った時点で真っ当なメディアとして自殺したわけだよね】

──とっくに死んでるような気もするんだけど、文春は近田春夫小林信彦の連載があるから、そこだけ読んでた過去がある。

メディアにせよ個人にせよ困窮すると「長期的に見れば損する」という選択肢を取りがち。

 

──小田嶋さんがスタイル・カウンシルに否定的な事を書いてるのをみたことがあるのだが、ポール・ウェラーはダメでもジョージ・マイケルはアリなのか。

まぁスタカン時代のウェラーが受け付けなかっただけなのかもね。

モーリス・ホワイトは売れすぎて過小評価されてるかもなぁ。

吉岡正晴が最大級の賛辞を贈るほどの天才なんだけど。

ボウイはそんなに聴いてない。

私はボラン派です。

 

  • 【いい人とか言われて無力化するよりは、厄介な人間であり続けたいものだな】

──長渕剛のキャプテン・オブ・ザ・シップに同じ一節がある。セイヤァ!

 

  • 【ものわかりの良いおっさんのものわかりの良さにつけこんでる若いヤツを見ていると、他人事ながらいやな気持になる】

──それな。やり口が老獪なんだよ、若くねーの。

 

  • メディア・リテラシーを身につけるための第一歩は、「予備知識なんか無くても、自分の目で実物を見れば必ず必ず理解できる」という思い込み(というよりも「思い上がり」)から離れることだと思うんだけど、自分の眼力とアタマの良さに自信を持っている人は、案外これができない】

──予備知識をどこで得るかというとwikiだったりするわけで、それが予備知識になるかどうかというリテラシーが必要になる。

 

  • 【霊魂が存在するのかどうかについて議論しようとは思っていない。ただ、一部の自称霊能力者やその信奉者が主張している「特別な能力を持った特別な人間だけが霊魂や守護霊にアクセスすることができる」という前提には同調しない】

──霊能力者を信奉している者の気持ちがよくわからない。

霊能力者は自分に霊能力がないことを知りつつ、ビジネスとして心霊ごっこをやっているわけで、そっちの方がまだわかる。

 

  • 【自分のサイトや知名度を燃料にして注目を集める炎上ビジネスは、多くの場合、利益を産まない。それどころか、長谷川某の例を見ても明らかな通り、ヘタをすると焼身〇〇になる。ビジネスとして有望なのは、むしろ放火です。消火能力を誇示しつつのマッチポンプならなお効果的だよ】

──たしかに多くの場合は利益を生まないんだけど、実際炎上商法で儲けてる人間もそれなりにいるのが問題なんだよなぁ。

真似する奴も出てくるわけで。

長谷川豊は悪質な自己愛性人格障害者。

ああいう人間に利用価値を見出して重宝していた業界人の見識を疑う。

 

  • 【最近、「意識高い」という言葉が、揶揄や冷笑以外の文脈で使われているのを見たことが無いのだが、「自分は意識高い系です」と名乗る人間に至っては一人も見たことがない。してみると「意識高い」というこの言葉には、事実上「いい気になってるイヤな奴」以上の意味は無いのかもしれない】

──個人的に、完璧主義で迷惑をかけるタイプの人間を見ると「『意識高い系』だなコイツ、さっさと『意識他界』してくれ」と思ったりする。

 

  • 【「メディア・リテラシーを持ちましょう」とか、メディア業界の中にいる人間が、自分たちが発信している情報の受け手に対して言うことは、板場の人間がカウンターの向こう側の客に向かって「サルモネラ菌に負けない強い消化器系を持ってください」と言ってるのと同じことだと思うぞ】

──ようするに予防線ですな。

虚実ないまぜでむしろ虚の方が多いメディアがそれ言ってそう。

 

  • 【サッカー中継の前に流される「煽りブイ」のクサさは、ゼロ年代の格闘技中継がもたらした負の遺産だな】

──深夜時代のPRIDEの煽りブイ(五味隆典 VS 川尻達也とか)は秀逸だったんだけどなぁ。

亀田辺りから酷くなって現状に至っているような気がする。

 

  • ASKAの挙動をいじくりまわしているアカウントは、たぶん、上空を旋回してるハゲタカが群れからはぐれたカモシカの子供を見つけた時みたいな表情を浮かべているはず】

──たしかタマフルで聞いた話だが、ASKAは日本の歌手の中でも断トツで声量があるらしく、洋楽で言えばU2のボノに匹敵するとか。

ちなみに「Bono」というのは死ぬほど声がデカいという意味のあだ名。

つまりASKAは死ぬほどデカい声で「殴りに行こうか~~~~」と歌っていたわけ。

しかもチャゲ込みで。

 

  • ツイッターの中では、他人の不幸であれ悲惨な出来事であれ、とにかく面白がってみせるのがセンスの良い人間の態度だと思い込んでいるアカウントが幅をきかせている】

──まとめサイトとかの影響もあるんでしょうなぁ。

面白がって利益になっている奴もいるわけで、そういうのに感化されてるのだろう。

 

  • 【料理人として命がけで料理してるんだから食べる側もそれなりの覚悟で食べてくれだとか、そういう設定が死ぬほど苦手です。カウンターを挟んで作り手と食べ手が真剣勝負してるみたいな、そういう思い込みはたのむからオレには適用しないでほしい。オレは食いたいものだけ食って嫌いなものは残す】

──この手の料理人の主張は、山下達郎の「ライブは腕組みしたムスっとした顔で見ないでくれ。楽しんで聴いてくれ」という良き主張と似て非なるもの。

まぁ似てないか。

 

  • 【サラリーマンがつとまらなかった人間は、そもそも他人とメシを食うみたいなことが苦手なのかもしれない】

──飲み会とか、つまらない人間のつまらなさが酒の力で増幅されるのが嫌です。

 

  • 【「フォローするほどの義理は無いんだけどなんとなく気になるアカウント」のツイートを非公開リスト経由で購読していると、コミュニケーションを拒否しつつ物陰から監視する非公開リストの設定の陰険さゆえなのか、気がつくと、そのアカウントのことが大嫌いになっていたりしますね】

──「形が感情を生む」という典型ですな。

 

  • 【そういえばこういう恥ずかしい番組もあった。→海外ニセ和食店を直す『ぶっこみジャパニーズ』に批判殺到「趣味悪すぎ」】

──「日本が他国から羨望の眼差しで見られている」という前提がズレているし、その間違った前提に基づいて説教をしにいくという・・・

立脚点がグラグラすぎてもうワケがわからない。

 

  • 【この一両日、「プロレス」という言葉を「ガチじゃない闘い」の比喩として使った人間が、日本中から湧いて出てきたガチな人たちによって袋叩きに遭う姿を眺めながら、プロレスがガチな世界であるということをしみじみと学んだ。この道には安易に言及しないことを心がけて行きたい】

──コレ!以前小田嶋さんが「プロレスファンを冷笑する」的な事を書いてるのを見て当時プロレスファンだった私はムキーッとなった記憶がある。

プロレスはようするに真剣な演劇(つまりオールガチ)なのです。

心がけてくれてありがたい。

 

  • 【「報酬を受け取らずに(あるいは半額で)仕事をすること」は、その仕事そのものをバカにする態度だと思うし、同業のすべての人間に喧嘩を売っているのと同じことだと思うのだが、この種のパフォーマンスを恥ずかしげもなく繰り出す人間が後を絶たないのなぜなんだぜ】
──そうした見え透いた過激ぶりに心動いてしまうような、「意思の弱い人間」が業界人や受け手にいるからでしょうな。
 
  • 【芸人であれライターであれ商業メディアで働く者の生殺与奪の権を握っているのは、プロデューサーであり編集者であって、出演者、書き手はただの駒で、だから後進に道を譲るとか、そんな話はそもそも夢物語だよ。どこの玉ねぎが新玉ねぎに棚を譲ってゴミ箱に身投げする? 八百屋の親父に言えよ】
──ロマン優光案件。
ヒップホップ的なビーフで言えばちゃんとアンサー返したわけで、これはこれで誠実な対応かもしれない。
上杉隆とか長谷川豊的な人は人格障害でどうにもならんのだから、そういう奴にオファーする立場の人に抗議した方がいいということでもある。
ロマン優光のweb連載「さよなら、くまさん」は面白いけど、例の本はどうなんかな。
 
  • 【「ほら、オレの言ったとおりだ」というのはインチキ予言者の決まり文句みたいなもので、そりゃ毎日何十個もツイートしてればドンピシャリのまぐれ当たりだってあるってだけの話だろ】

──トランプ当選案件。

「さもありなん精神」は誰の心にもあるのです。

 

  • 【はっきりしないいけ好かなさとはっきりした下品さのどちらかを選ばなければならないような時、なんであれはっきりしている方を選ぶ人たちがわりと多いことがわかった。曖昧な不快感と明確な苦痛のうちのいずれかに耐えなければならないんだとしたら、たしかに正体のわかっている痛みの方を選ぶかもしれない】
──言うまでもなく前者はヒラリーで、後者はトランプの事。
トランプ当選ってのは『博士の異常な愛情』的で正直ちょっと面白いとオモタ。
ヴェラ・リンの『We'll Meet Again』が聴こえてくるようだ。
 
  • サザエさんが国民的な人気アニメだからということを根拠に、サザエさん一家の家族形態を国民の理想とする旨の主張を展開する日本会議の論法からすると、ルパン三世が国民的な人気を博している以上、国民の理想の職業は泥棒だぞというお話になると思うのだが、そういうことで良いのか?】

──同じような文脈で言えば、コナン君を国民のロールモデルにした場合、「あちこちで殺人事件が発生し、麻酔針が飛び交う世の中」が理想ということになる。

 
  • 【電車の中で化粧を直すことについて「ヨーロッパでは売春婦のマナー」である旨を指摘する人が多いことに驚いている。賛否はともかく、なんであれ他人の仕草や服装や生き方を批評するにあたって「売春婦」という言葉を持ち出してくること自体が市民社会のマナーを逸脱した態度なんじゃないのか?】

──「ヨーロッパの売春婦」って漠然としていまいち想像つかないワードだよな。

 

  • 【優秀な人間を10人集めた組織は、優秀な1人のリーダーが凡庸な9人の部下を率いている組織に勝てない。なぜなら、優秀な10人が優秀であり続けるためには、他の優秀な9人の足を引っ張り続けていないといけないからだ】

──「指示待ち人間」という印象の悪いワードがあるが、指示通り動くんだから、ちゃんとプログラムすればこれ以上に使える部下はいないのになぁ。

求人条件にありがちな「自ら考え行動できる方」というのは同じ組織に何人もいらんよ。

 

  • 【「逮捕されたタレントが出演していたドラマや映画を丸ごと発売中止&配信停止にする」みたいなことが日常化しているうちの国のエンタメ業界は、戦前の隣組帝国陸軍が採用していた「連帯責任」をそのまんま踏襲しているという意味で、70年遅れていると思う。いいかげんに近代化したらどうなんだ?】

──自粛案件。

逮捕された直後はむしろ最も需要が高まってる時期と言える。

追悼特集みたいな感じでキャンペーンにした方がよかろう。

 

  • 【犯罪者がテレビの画面に映る仕事をすることは社会通念上許されないと考える人間がたくさんいる一方で、犯罪者が本を出版することはあまり問題視されていない。といううことはつまり、「テレビに出ること」は、「本を出すこと」よりも「社会の模範」としてふるまう意味が大きいわけだな。】

──たぶん、テレビの方が「見張ってる馬鹿」の数が多いからだと思う。

 

  • 【「無礼かつ傲慢」な人間は、自分たちが差し出すものを拒絶する人間の存在を想像できない。だから彼らは、話しかけても返事をしない人間を「無礼かつ傲慢」であると決めつけてしまう。無礼かつ傲慢にも。みうらじゅん賞なら受け取るかもしれないぞ】

──ボブ・ディラン案件。

ディランが賞を断ったケースはないので(たぶん)、みうらじゅん賞も当然受け取ることでしょう。

私は萩原健太湯浅学が言うように「ディランはノーベル賞をガチで狙って取りに行き、尚且つ受賞したことを大変喜んでいる。その上で返事をしないことで世間を翻弄してほくそ笑んでいる」という説を信じている。

なぜならディランが「ミーハー」だからなのだが、それについてはまたいずれ別の記事で書こうと思う。

中山康樹さんが存命なら意見を聞いてみたいものだ。

答えは風の中にある。

 

  • 【昨日までボブ・ディランの名前すら知らなかった人間でも、検索すればひと通りのプロフィールにアクセスできる。彼がそうやって5分で手に入れた知識と、別の人間が30年かけてレコードを買い、コンサートに出かけながら蓄えた知識の間に表面上の違いは無いが、背景にある情報量はまるで違う】

──これは音楽がレコードやCDにパッケージされていた時代を生きてきた人間にはよくわかる話。

だが、「俺の方が知ってるんだぞ!」とジャズ喫茶の古株みたいなことを言い出したらみっともないので、賢明な往年のディランファンは歯痒い気持ちになっているはず。

 

  • 【全労働人口に占めるサービス業従事者の割合の増加が、初対面の他者にどぎまぎするタイプの人間を「ダメなヤツ」として排除するコミュニケーション能力万能の人間観を普及させたと思うのだが、そろそろ反動が出てきても良い頃じゃないのか? オレは図々しいヤツよりオタオタしてるヤツの方が好きだぞ】

──ホントそれ。

不自然なぐらいコミュ力を見せつけてくるサービス業の人を見ると、「この人私には優しいけど部下には鬼なんだろうな」と思わざるをえない。

 

  • 【疲弊している学校現場にいじめゼロを強要すると、いじめの発生件数ではなく、認知数が減る。で、陰にこもったより悪質ないじめが蔓延する。同じように、残業が無いと回らない職場に残業ゼロを強要すると、残業そのものでなく、申告される残業の時間数が減少して、サービス残業が増えるのではないか】

──電通案件。

この時点での小田嶋さんの懸念はよくわかるけど、例の事件以来、世の中確実に残業(サービス残業も含め)が減っている実感はある。

まぁ一時的な「反省したふり」にすぎないのかもしれないが。

残業代をアテにしていた人もいるわけで、ワークバランスってむつかしい。

 

  • 【気持ちがふさいでいる人間にとってなによりつらいのは、鬱の原因以上に「たとえ気分が暗くて起き上がるのさえ困難な日であっても他人に対しては機嫌よく対応すべきだ」という社交の義務というのか圧力なのだということをお伝えしたくて、先程来、くどくどと繰り返している次第です】

──これな。

暗い顔してると、「笑顔で!」とかいうワケのわからん圧力をかけてくるし、無理に明るい顔をしてると「元気そうじゃないか!」と言って無理難題を押し付けてくるという。

「格ゲーのガード不能技」をしかけてくる奴が実社会にいるんだよ。

 

  • 【職場全体が残業100時間体制で回転している時に、ちょっと笑えるツイートを配信できる新入社員は、「外部からの目で自分たちの異常さを相対化するセンス」を備えた稀有な人材だと思うのだが、その「視野の広さ」が、かえって「安易に洗脳されない体質」として、彼女自身を追い詰めたのだろうな】

──本これ。

「相対化」なんてできたところでサラリーマンは勤まらない。

そのくせ、どいつもこいつも名刺代わりに「判で押したように画一的でつまらない冗談」を言いたがるんだよ。

同じぐらいつまらない奴が同じぐらいつまらないことを言い合ってキャッキャすることを世間では「コミュ力」という。