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【映画】野火【塚本晋也版】

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超低予算の自主制作であるためか、本職の役者がほとんど出ておらず、台詞が聞き取りにくくて困った。

なにしろBGMが流れているシーンでも小声なのである(まぁ飢餓状態なのに腹式呼吸で喋っていても違和感あるけど)。

兵士達の顔も現代的で妙に幼く、画面も安っぽいため、前半はどうにも感情移入できなかった。

道中に転がる死体は無残でリアルだが、敵軍に銃撃されて四肢が飛び散るシーンは平凡なゾンビ映画を連想させる。

 

というわけで中盤ぐらいまではもひとつだったんだけど、後半は塚本監督の鬼気迫る演技に次第に引き込まれて、すんなり没頭することが出来た。

田村が永松に猿の肉(実は人肉)を食わされ、その後三つ巴に突入していく件はデスゲームとしてかなりスリリング。

「手榴弾がいかに戦況を支配するアイテムなのか」という見せ方が上手い。

リリー・フランキーの超然感がいまいち足りないような気もするが・・・

 

構想では主人公が浅野忠信だったそうだが、もし浅野がそのまま務めていたらこの作品は成立していなかった。

塚本監督の演技は古臭いけど、「この映画の質を絶対下げたくない」という切迫した感情が伝わってくるのだ。

「スポンサーがつかず、制作費が無い」というのは映画製作にとっての飢餓状態なわけで、劇中の食料飢餓と製作費不足の飢餓がシンクロして独特の緊張感を生み出している。

 

2014年 日本 110分

【評価】55点

【英題】Fires on the Plain

【監督】塚本晋也