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【映画】ターミナル【ベニー・ゴルソンのサイン】

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スピルバーグほど映画業界全体に多大な影響を与え、大きく貢献している人物はいないのは事実だが、個人的に好きな作品は少ない。

私が映画に求めているのは「音楽とコメディ」なので、SF兼ミリタリーオタクのスピルバーグとは相性が悪いわけだ。

今作はその「音楽とコメディ」を取り扱っているわけだが、キレがよろしくない。

そもそもスピルバーグ本人が「コメディは苦手」と公言しているわけで。

 

主人公のナボルスキーは英語が喋れないだけなのに、白痴キャラとして設定されているのはどうなのよ。

トム・ハンクスが演じているから『フォレスト・ガンプ』に見えるのである(取り残されるという意味では『キャスト・アウェイ』か)。

「英語を覚えるにつれて文明人になる」というのはいかにもアメリカ映画的であるが、そうした大雑把な人種観が2004年の時点でまかり通っているのはどうしたものか。

 

前半は見るに堪えないが、トム・ハンクスキャサリン・ゼタ・ジョーンズ(なぜか歴女)らの好演で尻上がりに面白くはなってくる。

とくにインド人の清掃員のおっさんが素晴らしい。

ツンデレで危ない過去持ってて隙あらば手品見せようとするおっさん。

ああいう憎めない人っているよなぁ。

 

終盤、ナボルスキーのニューヨークを目指している理由がベニー・ゴルソンからサインを貰うため」ということが判明するのだが、アート・ブレイキーディジー・ガレスピーセロニアス・モンクのサインがあればもう充分すぎるやろ。

ベニー・ゴルソンのサインがどうしてもほしい人ってそんなにおらんと思うぞ(スタン・ゲッツレスター・ヤングならともかく)。

「コンプリートすることに意義がある」というこだわりなのだろうが、セロニアス・モンク一人だけでも家宝に値する。

 

しかもせっかくベニーが演奏しているのに、さわりの部分しか聴かせてくれないのはどうかしている。

フルで流しながらそのままエンディングに突入すべき。

この点からスピルバーグの致命的な音楽センスのなさが伺える。

 

2004年 アメリカ 128分

【評価】55点

【原題】The Terminal

【監督】スティーヴン・スピルバーグ