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なぜ般若は晋平太に負けたのか【フリースタイルダンジョン】

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※前回までのあらすじ

「HIP HOPとラップは別物。HIP HOPはカルチャーであり、ラップは歌唱法に過ぎない」

という事は以前も書いたが、ラップを腕相撲化したのがMCバトルであり、いつからか日本ではMCバトルはHIP HOPから独立した存在になってしまった。

 

※DABOとMEGA-Gが考えるヒップホップとラップの関係

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 近年のバトルブームによって「独立した存在」どころか、一般層から見れば「MCバトルの下にHIP HOPがぶら下がっている」という悪夢のような状況が出来上がった。

ブームの起点になっているのが、日本のHIP HOPを定義づけた内のひとりであるZEEBRAなので、あまり強く否定する気にもならんのだが(実際バトルは面白いしコンテンツとして強力ではある)、今回晋平太が般若を打倒したことにより、 HIP HOPが腕相撲に屈したのが可視化されたような気がした。

まぁこんなのテレビ番組だから、ほんの一例にすぎないんだけど。

 

私は一連の記事で晋平太を良くも悪くも(どちらかと言えば悪く)書いてきたが、それは晋平太が良くも悪くも現在のシーンを象徴する人物だからである。

晋平太は強い。

MCバトルの主人公である。

仮にMCバトルがオリンピックの種目になった場合、金メダリストに相応しいのは晋平太で間違いない。

でもそれだけ。

感想としては、腕相撲日本一とか大食い日本一とか鉄道知識日本一とか巨乳日本一の人に対する「へぇ~、すごいんだなぁ」というあの感じに近い。

晋平太の試合は荒れやすいし面白いから好きだが、彼の音源には惹かれない。

ACEとDOTAMAも然り。

 

以前も書いたが、個人的に音源の良さで言えば「ZEEBRA>漢>いとうせいこう>般若>その他モンスター」だと思っている。

私はとくに般若のリスナーというわけではないが、相対的に見れば彼を評価しないわけにはいかない。

マイクリレーを見れば一目瞭然、さすがにカッコいい(MONSTER VISIONはべつとして)

 

※MACCHO、NORIKIYO、般若、DABO - 『Beats&Rhyme』

 

というわけで、FSDの一部視聴者からZEEBRAいとうせいこうが悪し様に言われていたり、MC漢が番組上冷遇されていたりするのは解せない。

彼らの音源をしっかり聞けば、少なくとも口の利き方には気を付けるはずだ。

「おい糞シマウマ!」などとZEEBRA本人にツイッターで突っかかるのはどうなのよ。

自分の意見を通したければ、襟を正して接しなければならない。

駄々をこねれば相手が言うことをきいてくれるのは、幼児とその親との関係だけである。

 

えーっと前文が長くなったが、なぜ般若が晋平太に負けたのか?

それはフリースタイルダンジョンがテレビ番組だからでしょう。

ようするにテレ東でやってた「TVチャンピオン」みたいなものだから、純粋に技術点が高くて進行上勝つべき者が勝ったって感じ。

いとうせいこう「晋平太の戦い方はものすごくずる賢いんですよ、でも熱い事ちゃんと言ってる」という解説がすべて。

せいこうさんは本来のHIP HOPの良さも全部わかった上で、そしてテレビの裏表も全部わかった上でジャッジしているから信用している。

般若は負けたのだ。

 

般若はいつも通り「バトルなんかおまけだ。本番はライブと音源だ!」という事しか言ってなかった。

それが彼の伝えたい事だから誰と何度バトルしてもその主張は変わらないし、このまま番組に居座る必要性もないので、「晋平太が全力でぶつかってくるんならそのまま押し出されてもいいかぁ」という心境だったのだろう。

敗戦後のコメントを深読みすると、般若は漢が負けた時点で勝つ気が萎えていたのかもしれない、「誤審」について言及していたし。

R指定も本調子じゃなかったから、モンスター達は本当に疲れていたんだろうな。

振り返ると、全クリした晋平太は介錯人」としての役割を見事に全うしたのだと思います。

 

これにてMCバトルの競技化は完成した。

7体のモンスターの亡骸から新しい命が芽吹くのを期待しています(ゲストライブのLEON a.k.a.獅子は最高だった)。

モンスターの皆様、本当にお疲れ様でした、晋平太さんダンジョン制覇おめでとう!

ピース!

 

RHYMESTER - 『ONCE AGAIN』