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【映画】ブレックファスト・クラブ【ブラット・パック】

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アメリカのユースカルチャー文脈で未だに引用されまくる青春映画の金字塔。

ジョン・ヒューズ(『ホームアローン』の製作者)特有の童心全開で、そういった意味で全く隙が無い。

スピルバーグにせよリチャード・ドナーにせよ、子供を取り扱うのは上手いけど、ジョン・ヒューズほど濃厚な青春汁を精製できる作家は他にいないだろう。

冒頭でシンプルマインズの曲がかかり、デヴィッド・ボウイの詩が引用され、画面がバリーンと割れる辺りからもう青春の香りしかしない。

舞台が学校に限定されているため、ビーチボーイズの『Be True To Your School』のような箱庭感をひしひしと感じる。

 

5人の子供の中で最も目を引くのはビョークみたいな顔をしたアリー・シーディ。

ありえないレベルのエキセントリックさなのだが、彼女の正体に興味を大きく掻き立てられるため目が離せない。

「彼女だけ補習に呼ばれた理由がない」とか「お嬢様に変身する」というオチのつけ方も完璧。

完全なるフリオチ、ここまでバシっと決まる映画もそうそうない。

 

子供の描き分けが見事なのはもちろんのこと、大人の描写も上手い。

教師はある意味子供達より精神年齢が低いし、一見するとみすぼらしい用務員は彼なりの人生哲学を持った大人なのである。

教師は一応敵役ではあるのだが、「ドリフターズにおけるいかりや長介」みたいなもので、子供に出し抜かれるための適度な枷になっている。

 

まだガイ達が団結しておらずそれぞれに暇を潰すシーン、どいつもこいつも食べ方が汚い食事シーン(弁当で寿司はねーだろ)、DTとSJについてのディベートシーン、音楽をかけて踊りまくるシーン(モリー・リングウォルドのダンスのキレ!)など名場面は数々あるが、ハイライトはみんなでマリファナを吸い、テンション上がりすぎたエミリオ・エステベスが大声を出してガラスを割るシーン。

はっきり言ってやりすぎだけど、それはようするにブリブリ状態だったから見えた幻と考えれば妥当である。

 

音楽をクドクド垂れ流さず、必要分量だけ流して切り上げるのも上手いし、現実に引き戻される月曜日をあえて描写しないラストも見事。

「ガッツポーズでストップモーション」、これでいいのだ。

あとのことは知らん。

 

不満点もいくつかあると言えばある。

ジャド・ネルソンの不良役に奥行きが足りない。

第一老けすぎだし、第二にあまりにもテンプレ通りすぎてカリスマ性がないのである。

もうちょっと『カッコーの巣の上で』のマクマーフィーみたいにならんかったのかなと。

エミリオが補習送りになった理由もいまいち弱いと思う。

 

Beach Boys - 『Be true to your school』

 

1985年 アメリカ 97分

【評価】70点

【原題】The Breakfast Club

【監督】ジョン・ヒューズ